針小肥大

針小肥大

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後輩が出て行くや、何度だせば良いのか、またもや溜め息をだす。
そして溜め息のせいでまたもやお腹の贅肉がせり出す

 

肥大化して8時間、ようやく1人きりの時間が確保出来た
目の前にある、いや持ってきてもらった特大の鏡を、まじまじと眺めてみる。
ずっと人がいた事と肥大化したばかりのショックで、
じっくりと自分の身体を鏡を見て観察する気になれなかったのだ
最初はこの体を見て、心底ショックだったが他人がいたおかげでギリギリ平常心を保つ事ができた
他人なんかいたら余計にみじめで嫌な気分になりそうだが、幸いにも同業者で、
これがどういうことか理解している人達であるので逆に心強かった。

 

眺めてみると肌色の山のような物体が確認出来る
顔みたいな物が一番上に乗っかっており、どうやら首は無い。
首が本来あるであろう部分は肉が首と胸の間の空間を埋めている
顔を右や左に向けると二重顎の肉だけがぷるぷる震えるだけで微動だにせず
その上についている頬の肉が二重顎にひっぱられている具合で顔が右や左に向く
その頬の肉もバスケットボール並の肉が口の横にだぷんとへばりついており、口を動かすと、
その振動で揺れる

 

目は元々、細めな方だったが、頬の肉が膨れてしまったせいで余計に細く見えるように
なってしまった
顔がでかくなり過ぎて目はものすごく小さくみえるが、肌色が大きくひしめく中、
目は返って対比物として目立って見える。

 

腕は、着物に負けやしない豪快な贅肉の振り袖がついており、前腕も同様に
腕を上げると垂れ下がる
指は、例えやすいものがあるとすれば祭りの屋台で売っているフランクフルトぐらいの
太さだろうか、ものを掴む事はできるが細かい動作は指と指の肉同士が動きを阻むので
できなくなってしまっている。
箸を使うのも難しいかもしれない。

 

胸は、自分の腕でも持ち上げる事も、掴む事もできないぐらいに大きくなり垂れてしまった、
もし自分が痩せていて、胸だけ同じ大きさだとしたら、おそらく足下まで垂れてしまうだろう
腕を前にのばしても乳首にすら届かないほど垂れてしまってるため、下着を付ける動作も
かなり難儀な事になるかもしれない

 

その巨大で垂れている胸の下には、非常に柔らかそうではあるが
何かに例え用の無いぐらいに垂れて膨れ上がった贅肉の塊であるお腹がある
胴体を輪切りにしたらおそらく、巨大な餅とでも言っていいような形をしている。

 

体を動かそうとしてみると贅肉に覆われた体の内部の動かそうとする振動が伝わるのか、
突き出て垂れているお腹がぷるぷると揺れる
お尻はお腹と胸に比べると、膨れ上がってはいないが凄まじく膨れ上がっている事に変わりがない
大きくなりすぎたせいで、困った事に肛門が肉深くに埋まってしまい、
排泄をするにも難儀な事になってしまった

 

足は腹と尻の肉に埋まってしまったせいで、ふとももはまるっきり見えないが、
片方の足だけでもドラム缶並の太さはあろうか
その下の膝からアキレス腱にかけてまでの部位は所々、肉の段差が出来て垂れ下がっていて、
そこから頭をだすような形でこれもまた太くなった足がぴょこっと肉の間から出ている。

 

体の全ての肉が垂れている存在、これが今の私だった

 

 

-11-

 

翌日、台車に垂れたお腹を載せて歩いている女性が研究所にあった

 

ぶるん!ぶるん!と両腕を左右に揺らし、尻と腹をぷるぷるっと震わしながら歩いている
「ふ、ふひぃっ、こ、これ以上あるげません」

 

研究員1「わかりました。立ち止まって休んでいいですよ、
…台車を使った場合歩ける一定の距離は約25mという所ですね」
、次は専用の歩行器を使ってみましょう」

 

「そ、それより、ぶふぅ、座らしてぇえ、台車じゃ、じっどしででも
 体をやずめることがでぎな゙い゙よ゙ぉ」

 

研究員2「台車では体の疲れがとれないっと…」

 

「か、書いてないで、椅子をもってくるか
 お腹、お腹を持ち上げてよぉ!尻でもいいがらぁ!んーっ!!!!重いーっ!」

 

研究員が、そばに置いてある車輪が付いた特大のソファを持ってくる、
椅子を使わないのは彼女の巨大な尻と巨体を折れてしまうかもしれないためだ

 

「ふひぃっ、お、置いてくれたぁ?ふぅ、よっこいしょっと」

 

置かれたことを確認すると、巨大なお尻から尻餅を付くような形でどしん!と座る
音こそはしないものの、にぶい振動が部屋中を伝わってゆく
お腹がふとももに負担をかけないように座った後は、お腹を揺らして調整する

 

「ぷふぅう、次は歩行器ね、体にフィットするか心配だわ」

 

「先輩の肥大の場合、お尻がお腹のようにでかくなったわけではないですから
 なんとかなるんじゃないですかね、あの歩行器はお尻は割と限度がありましたけど
 お腹はどんなに垂れてもなるべく対応できるように工夫されていたものですから」

 

「んふー、そうだけど、まだ作ったばかりで、実際使えるか、
 ぷふぅ、実施試験したこども、ながっだからねぇ、ふぅ」

 

「わかりましたけど、さっきより息づかい荒くなってませんか」

 

「しゃ、しゃべるだげでも、疲れるのよおぉ、顔の肉をゆらざなぎゃちゃんと
 発音でぎないんだがら」
「ならこうすればいいじゃないですか」

 

そう言うと後輩はいきなり私の頬の肉を掴む

 

「こうやって肉を掴みながら、しゃべればいいんですよ。それにしても触り心地いいですねぇ」
「ば、ばかにしないでよぉ離しなさいったら」
(でも案外、いい方法かも)
「んっしょ!っと」
掛け声と共に腕をあげ、顔の肉を両腕を使って掴む
しかし掴んだのは良いが、二の腕が、ぷにゅうっと彼女の首を圧迫し肉を押し上げ、さらには

 

「たしかに声はちゃんと出せるけど、腕をず、ずっとあげることなんてできないわ」
腕に付いている分の肉の重さがもろに腕の筋肉と骨に負担をかける
「はひぃ はひぃ もうだめぇ」
手を離したとたんに、口元に肉の波が押し寄せ、一瞬だけ息が塞がれる
「ぷぷっぅう!」

 

「ふぅ、腕を使わなくでも、口の間に隙間を固定出来るようなものを作らなぐっじゃね゙」
「それぐらいなら、短期間で制作出来そうですね、あ、歩行器来ましたよ」

 

 

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それは歩行器というにはあまりに大きすぎた。大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた
しかしその形はまさしく歩行器であった

 

お腹とお尻を支える為にお腹とお尻の位置に合わせた段が付けられており、
そこに垂れた肉を乗っけさせ体への重さを軽減させる。
軽減させるとともに、歩行器に設けられた段によって、足を動かすスペースが空間的に
作られるようになっておりその空間の中で脚を動かして前へ移動させる仕組みである

 

例の如く、起重機で起き上がったあと、まずはお尻を、歩行器の後部の段にのっける作業に
取りかかる

 

「んふぃぃぃっ!お尻はこれ以上あがらないっぃいい」
肉に覆われて見えにくいが、体の腰を屈めてお尻を突き出す形でお尻を上げよう必死になっている
お尻を可能な限り、自力で上げてもらいケツが上がった高さに合わせて後部の段を下げるように
調整する

 

 

この歩行器、全体としての高さはまったくないが、かなり幅として大きいもので、
歩行器を押す為の手すりも囲いのように取り付けられている、
だがこの構造では手すりがじゃまになって、その鈍重な体を歩行器に入れる事ができない
足を動かすスペースも、前後はお腹とお尻を置くため、
広さは限られているが左右はひらけている構造になっている
つまりは下は後部と前部が寸断された形状になっている、
何処で接合しているかといえば手すりでこの前部と後部のパーツを肉を前部、後部と設置した後に
装着している
なので、まず後部のパーツにお尻をのっけ、次にその巨大なお腹を前部に設置する

 

「ようしょっと、あ、あとはお腹ねぇ、、ぷふぅ」

 

床に滝の如く、でろんでろんに垂れているお腹を乗せなければならない作業に移るのだが
起重機を使えば簡単だが、日常生活を考えれば、常時使えるものでは無いため、
使わないでお腹を設置出来る事が望ましい
そのために作られた専用のジャッキを使ってお腹を上へ持ち上げる
このジャッキは1人でも使える、介護者の数を無駄に増やさないようにする配慮だ。

 

「お腹の下に入れますよ」

 

冷たい金属板がお腹の下に入っていく、油まじりの汗が潤滑剤となって、ぬるっと入り込んでゆく
入れた後はレバーを何度も上げ下げしてお腹を押し上げてゆく
巨大なお腹が押し上げられ、大分自重が軽くなるのを感じる
持ち上げたのを確認すると

 

「よ、よ〜し、じ、じゃあ移動するわよ」

 

足のつま先から太ももまでめいいっぱい力をいれる

 

「む”ーっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

「んぅうぅぅうぅうぅううううううううううううううううううううううううううううううううううう
 ううううう」

 

ゆっさゆっさと体を揺らしながら、横移動をする。ジャッキは歩行器前部の高さに合わせられており
横にそのまま移動して肉を歩行器に移す
わずかにだが、少しずつ腹肉は彼女が喘ぐとともに動いており、時間をかければ移せることが
できそうだ

 

「んぁああっ!!!!」

 

お腹を移動させた頃には、顔は真っ赤になり、体からは滝のように汗が流れている
歩行器に贅肉が乗っかった後は。手すりを組み立てて、歩行器の前部と後部を装着していく

 

「装着ができました。もう手すりを持って大丈夫ですよ」

 

脇腹の肉が少し邪魔をするが、えいっと振り袖の肉と腕を前にやり手すりを前のめりに掴む

 

「ふぅ、これで準備ができたわ、歩くから計測お願いね」

 

(もうこれ以上だらしないような喘ぎ声を上げて歩くのはまっぴら、
 お願いだから、私が喘ぎ声を出さない程度に歩く疲れを軽減させてよね、
 頼むわよ私の考案した歩行器)

 

 

-13,1-

 

「っしょ!」

 

足を動かしてみると同時に、歩行器のタイヤが動き始めた
ここまでは先程の台車と変わらない、だがやはり歩きやすさが違った

 

お尻は依然、ぶるぶるっ、ぷるぷるっと震えたりする
時折足を動かす反動で段から垂れ落ちそうになったりするが
そこはベルトで抑えられている為落ちる事はまずない、だが落ちそうになる度に食い込むので、
その度に

 

「んあぅ!」と甲高い声でお尻を震わす

 

お腹は台車よりお腹の設置面が多い分、お尻同様、体を動かす時の振動が反映しやすく、
たぷんたぷん、ぷちゅぷちゅと歩く度に振動で揺れていた。

 

「ふ、ふひぃ、プフゥゥウ、んっううんんんんんぅううううううううう、
ブヒィぃぃいいいいっ!、もう、ここで限界っ!」

 

「こ、ごんがいは、どのぐらい”あるげだ?」

 

「103メートルです」

 

ちなみにどうやって計っているかというと、
台車の時も同じ方法をとったが前部の歩行器はベルトコンベアーようなものに乗せられており
ベルトの回転数で距離を計っている

 

「さ、さっぎよりも歩ける距離は段違いね”」

 

でもやっぱり、疲れてしまえば、声は喘いでしまうし、患部が刺激されれば声はでてしまうのかと
歩行時を思い出し陰鬱になる。
とりあえずはこれで一通りの試験は終わりでへや

 

 

 

病室、もとい今の自分の部屋に戻るとさっそく服を脱がされ、後輩に体を拭かれる。
他のスタッフはもう自分の仕事場に帰った、起重機があれば1人での介護でなんとか事足りるからだ
ただもともと、自分の体の介護に時間を避けれる程、時間の余裕が無いというのもある。

 

何故、後輩だけが残るかというと、同じ研究部署で、自分の研究のアシスタントをしていたからだ
適材適所というわけなので、同じ研究をしている者として
彼女は彼女なりに私の体を拭きながら、この体がどういうものなのか「研究」「調査」してると
いうことだ
そういう意味では、「研究」「調査」のために私の陰部や肛門もまさぐられるのだけど…

 

「んぅううっ♥!あっ、やめでぇ!そんなところ拭くのは」

 

「ええっ、でも先輩っ!すごいですよ、ほら、タオルで拭いた汗がバケツ一杯に!」

 

なんでそんなに笑顔なんだろうと思うくらいに気持ちいい顔をして後輩が立っている

 

「一度、ゼリーで出来たプールとかに入ってみたいとか昔夢見た事があるんですけど
 先輩の肉に潜ってみたらこんな感じなのかもしれないと思いましたよ、汗のせいでぷるぷるです」

 

「…まっだぐ!」

 

悪気はないし、どこかしら気が効く子で性格的に憎めないんだけども、今後ともこの調子じゃ
慣れるまで疲れる

 

 

-13,2-

 

体を拭き終わり、一応は着るものがあるので着る
裸のままでは、なんとなく嫌だ。

 

「おっぱいのサイズ、でか過ぎて合う下着がないので特注品を頼むしか無いですけど
どうしますか、頼みます?、垂れ過ぎていて計測をどうやったらいいかも際どいんで
ぴったりのサイズを頼むのが難しい所ですが」

 

どるんっ!とはち切れそうなくらいに腹の上で左右に垂れている胸を見て考える

 

「…頼まなくていいわ、そのかわり特注でニップレスを頼んで、それで今は十分」

 

「はい、後は服ですけど、通気性の良いものにしなければいけないですね」

 

「ええそうね、でも新しい服を作るのに服のサイズを計るのは後で良いわ、
 ちょっと今は1人で休ませて」

 

そう言って体をベットに沈める、お尻がクッションとなって背中を包む
思ったより、今後の生活は大変そうだ、体中の贅肉を常に揺らしに揺らしきってぶるんぶるんと
震わせながら
「んぁああっ!!あーっ!」と喘いだりしながら動くのだから…

 

歩行器をどのように変えようが疲れるものは疲れる。立ってるだけでも疲れる
今は寝ているが、腕を顔に寄せるだけも一苦労なのだ、
常に肉がせめぎあってっていて肉と肉の間が蒸れているのを私は感じている

 

「ぅぅぅ」

 

涙が溢れてくる、後輩はとっくにでていったので、誰も部屋にはいない、
ただ1t近い肉の塊がぽつんと置いてあるだけだ

 

なんとかまずは研究所で仕事ができるくらいまで体を使えるようにしよう、
そうしなければ、ただの肉塊になってしまうから

 

これからの私の敵はおそらく羞恥心なのだ、羞恥心さえ捨ててしまえば、
こんな体でも痩せてた頃と同じ動きができるはず…
この体がむしろ、私のこれから生活していく上での「私らしさに」ならなければ
生きてゆけないんだ…

 

肌色という肌色で埋め尽くされた巨大な贅肉を
たゆまし、ゆらし、振るわし、その度に。喘ぐ私を個性としなければならいんだ
そうして生活して暮らしたいのか、そうしなければ暮らせないと思ってこう考えるのかは
わからないが

 

 

ただ一つの現実は、私自身が変わらなければならないということのようだった。

 

 

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