行方不明の加奈さん
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10分かかった道のりを1時間かけてようやく自分の部屋に帰ってきた加奈は
なんとかベッドに足を大股に開けて真ん中に腹肉を垂らしながら寝る事が出来た。
かつてキングサイズの大きさだったベットも今ではちょうど良いぐらいだ。
(顔が熱いよ〜お肉の間が熱いよ〜)
「そうだエアコンを付けよう」
「よいしょっ、ふぅふぅ、んーっ!!!!」
ベッドから慣れない動作でお尻を左右に揺らしながら方向転換し
床にお腹を垂らしながらようやく立ち、壁についている手すりを両手でもって必死に足とお尻を
揺らしながら壁沿いを歩いて行くとやっと壁に付いているスイッチに辿り着く事が出来た
(ボタンがうまく押せないなぁ)
ようやくボタンを押し終わると帰路につくことができたが、
自分の体の至る所が揺れる感覚はまだまだ慣れそうになれなかった。
「でもこれで借金もなくなったし、後は頑張って生活するだけね…」
膨れ上がった顔を手でたぷたぷしながらこれからの生活の事を思案する彼女だった。
未来が明るいかはわからなかったが、半年後、なかなかいない体重の人間として訓練は難渋したが
無事にリハビリを終え、最終日は体をでろんでろんに揺らしながら
訓練所の300kg近いコーチに見送られて日常生活に戻り会社御用達の仕事に着く事になった。
生活には戻ったものの今の自分の体の恥ずかしさからか生活は違う場所に移し名義も替えた。
いつまでもそうしようとは思わないがやはり知り合いにこの体は気持ちに折り合いがつくまで
見せたく無かったのだ。
ただ名義を変えたといっても住民の登録名は本名のため結果的に見つかった。
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もし正解ならここが彼女の家のはずだ…
畠山加奈さんのご両親に捜索を頼まれて早2週間
もしかしたら住んでいるかもしれない場所を特定して、今ようやく訪ねてきている所だ
(それにしてもやけに幅の広いマンションだ)
「はぁ、はぁ、あの〜私の家に何か用ですか」
そこにいた女性は相撲取りも真っ青であろう体格の女性だった
至る所から汗がでており、歩くのもつらいのだろう、杖を片手に持っている
お腹が非常に垂れていて今にも床に着きそうだった
肉に埋もれてる顔が汗でひかり妙な色気をだしていた。少なくとも私には色っぽかった。
「あ、すいません私、後藤という者で探偵をやっています、
こちらに畠山加奈さんという方がお住みに?」
ただ立っているのつらいのだろう、顔を歪ませながらも、温かい笑顔を作って彼女は言った
「そ、その…実は、畠山加奈は私の本名です、はぁっはぁ…す、すいません、
わけは話しますから家の中でいいですか、座りたくて」
「あぁ、ご迷惑をかけてすいません」
「いえ…、ふぅ、ちょっとどいてくださいね」
一般的なマンションのドアより大きいドアだが彼女にとっては窮屈みたいだ
体を横にしてお腹をドアに擦りながらなんとか入って行った。
「ふひぃ〜、どうぞお上がりください」
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「…ってことがあったんです。もしできればなんですがまだ
お、お母さんとお父さんにはこの体の事は内緒にしておいてください
いずれ絶対に自分から伝えますから。今はちょっと会えないと」
「あっ飲み物のおかわり持ってきますね」
そういうと「よいしょっ」と杖を使って立ち上がり杖をお尻に付け直すと足を
リズミカルによちよちと揺らしながら台所に向かった
お尻が終始揺れていて目のやり場にはちょっと困る
こちらの視線に気付いたようで
「お尻がでかくて不自由がないかとか思ってたんじゃないですか?」と笑って言ってくる
コーヒーとお菓子を持ってくると、足をがに股に開けてへそがまるだしのお腹からゆっくり降ろして座る
「はぁ、はぁ、この体形の生活も慣れればなんとか、はぁ、なりますよ〜おしりもですけどね」
「歩くとき杖つかなくても大丈夫なんですね」
「い、いや〜家の中と職場くらいのものです。杖をつかなくても、ふぅ、済むのは。
100m以上歩く時は使わなきゃきついですね。この間までは家の中も杖をついてましたから」
「なるほど〜」
「そういえばなんですが、今は一体どんな仕事に就いていらっしゃるんですか?」
「もし、その…なんですが…後藤さんが良ければ来てもいいですよ、今日は予約はないですし…」
大きなカップでコーヒーをすすりながら話す
「予約が必要なんですか?」
「はい、必要なんです。会員証も必要なんですがそこは私が融通しておきますね。
後一つだけお聞きしたいのですけど」
「なんです?」
「太った女の子は大丈夫ですか?」