D・プログレス
舞台は近未来、世界各地で謎の地下迷宮、
一種の『ダンジョン』(Donjonが発見されるようになった近未来。
「デックス」(Dex)と呼ばれたそれは直ちに調査の対象となったが、
その特有の磁場は少ない例外を除き科学技術の介入を許さない。
そのためある方法をとらないと進めないのだ。
その方法とは、
「女の子を太らせてその重さで床を突き破る・・・何ですかそれ!?」
政府の調査隊の一員である若い男が隊長に詰め寄る。
彼らの任務は、地上からデックスに潜る者たちをサポートすること
つまり女の子を太らせる手伝うことだ。
隊長は複雑そうな表情で返答する。
「言いたいことは分かるがこれしか方法は無いんだ、あのデックスに深く潜るためには」
デックス、そこの地上からさほど離れてない深度、
その階層の中の大部屋に3人の少女と1人の女性がいた。
「マッピング完了しました」
「目標ポイント算出しました」
「全員スタンバイ完了」
3人の少女の外見はほぼ同じ。年齢は13、14歳ごろだろう。
曇り空を連想させる灰色の髪を短く切り揃えて、
年相応(?)の背丈と年相応と言うにはやや幼い肢体を
色違いのタイツで包んでいる。
整った可愛らしい顔をしているが、
全くの無表情であることがその魅力を大きく損ねている。
この抑揚の乏しい話しぶりからすると性格もほぼ同じだろう。
「よっし!じゃあ始めようか」
女の方は様々な意味で少女とは対照的である。
年齢は20代前半。
女としては高い背丈にメリハリのある肢体をブラウスとジーンズで覆っている。
さっぱりと切り揃えられた夕暮れを思わせる朱色の髪。
整った美しい顔をしているが、
紫色の大きな瞳を輝かせている彼女はむしろ可愛いとも言える。
この返事の言葉からしてさぞ明朗な性格なのだろう。
その名をリーファ・フェフという。
「スタート! D・プログレス!」
リーファの号令を受けた地上のサポート班が
「栄養素凝固結晶」、キューブを精製し
電子転換装置を使い転送する。
電子転換装置はデックスにおいても使用可能な少ない機械の一つだが、
Y軸、つまり深度を指定することは可能だが、
X軸、つまり位置まで指定することは不可能である。
しかしリーファが持つ携帯端末なら
どこにキューブが転送されたかを知ることが出来る。
リーファの指示により、手分けしてキューブを集めていく。
30分弱でひとまず15個ほど集めた4人は元いた大部屋に戻る。
「まず三人ともキューブ5つずつ食べて!」
「「「了解」」」」
やはり抑揚の乏しい声で返事した3人が
キューブを5つ手に取り、重ねる。
すると、3人の背丈を上回っていた大きさだった5つのキューブが
圧縮され、丼飯と同じくらいの体積となる。
三人は、そのキューブを口に入れた。
そして太ってゆく。太り方まで三人一緒だったが、
「「ちょうど良い」を通り過ぎ、「ぽっちゃり」にさしかった辺りから太り方が異なってきた。
群青色のタイツを着た少女は他の肥大化よりも胸の肥大化が明らかに著しい。
深緑色のタイツを着た少女は全身に万遍なく脂肪が付き
その上でお腹が一回り突き出ている。
黄土色のタイツを着た少女は体の下に行くほど太くなるという
ある意味安定感のある下半身太りである。
その有様を地上から見ていたあの若い隊員が驚愕の声をあげた。
「太ったぁ!?あのキューブそこまでカロリー高いのか!?」
「いや普通の人間なら(あそこまでは)太らない。
彼女たち三人はデックスの存在を予知していたとある組織が
造った人造人間、『デザイアン』(Design)だ」
数分後、三人の少女は三者三様のぽっちゃり体型へ変貌を遂げた。
「太るのは構わないけど・・・これは邪魔だなぁ・・・」
変貌した体に、あからさまな不満を漏らす群青色のタイツの娘。
そう精神も明らかに変化しているのである。
育った胸を邪魔物のようにたぷつかせている彼女の名はディーア(DirA)
その瞳はリーファとは違った快活さを浮かべてるが
それだけに彼女と同等以上の巨乳も邪魔な荷物だった。
「さーて、ここからもっともっと太らないと・・・ふふふ楽しみ」
ぽっこりと突き出たお腹をさすっている深緑色のタイツの娘はディーウ、(DirU)
彼女の自分の太った体を見ている瞳から読める感情には、
「少女」らしい無邪気さに「女」の妖艶さがほのかに混ざっている。
「二人とも、私達にとって太ることは目的を遂行するための必要不可欠な手段よ」
「浮かれたり嫌がったりしないの!」
他の二人を諭している黄土色のタイツの娘はディーオ(DirO)
その瞳には「任務」を全うしようとする固い意思が宿っていた。
・・・体の中で一番肥大化したその尻には大量の脂肪が詰まっていた。
「性格も変わった!?」
「こっちはあのリーファ氏が手を加えたとの噂だが・・・」
「それじゃあ3人ともここからは見つけたキューブはその場で食べていいから」
「LV5になったらここに戻ってきて」
「分かった!」
「分かりました、もっと太って帰ってきますので!」
「了解、速やかに任務を遂行します!」
彼女らは三者三様の返事をしてから、大部屋から駆け出していった。
その足取りにその体の重さは感じられなかった。
それもその筈、デザイアンは、太った状態で活動することを前提に
作られており、限度はあるが太ってもそれ以前と同じように活動できるのだ。
しかし、ぽっちゃりした体で全身タイツを着て全力疾走すると
また違った弊害が出てきた様だった。
「あっつい・・・」 そう暑いのである。
タイツの腰チャックを空けて、ぽっこりとしてる腹回りを
ぽりぽり掻いてるのはディーアである。
「やっぱ地下で走るもんじゃないね・・・」
そうぼやくディーアの目の前にキューブが転送されてきた。
「丁度いいや、持ってる分も食べちゃお」
ディーアは2つのキューブを躊躇いなく口にした。
その栄養による変化・・・肥満化が収まるのと同時に
持っていた携帯端末からリーファの声が響いた。
「ディーア!何やってるの!」
「リーファさん、何ってキューブ食べて・・・ああっ!!」
『 D・プログレスの際、体型の変化に合わせて一々着替えている暇は無いので、
その実行メンバーには太るのに合わせて大きくなる様に設計された特殊な繊維のタイツを与えられている。
しかしこのタイツ、しっかりと全身を覆ってないとその効果は半減されてしまう。
そのため腰チャックを開けてキューブを食べたディーアは・・・
「ひ、ひぃやぁぁ!!」
ぽっこりと突き出たお腹が丸出しになってしまってる。
その上の一番の肥大化を遂げている胸は、覆っているタイツの上からくっきりとその形を浮かび上げている。
腕もぷくぷくと膨れあがっており、痩せていた時(LV0)の倍近く太い。
そんな上半身と見比べると、
下半身にはそれほど脂肪が付いてない様に見える。
脚はむちむちとしながらも元のラインを保っているし、
お尻は程よい大きさと整った形をした美尻だが、
しかし今のディーアの体においては小さすぎる位だ。
胸に近いからか、顔にも多めの脂肪が付き丸々としてきてる。
端正な目鼻立ちはそのままだがその上で頬がかなりふっくら膨れてる。
顎もそろそろ二重あごになってしまいそうである。』
という文章が地上のサポート班のPCに表示されていた。
リーファは携帯端末で画像付きでモニターしており、
その様子を描写した文章データを定期報告として地上に送信することも
彼女の仕事である。
文章データで送信するのは画像データの送信はデックスの磁気に阻まれるからだ。
それとこんな有様を直接見せるわけには行かないからなのだが・・・
「定期報告」を見たサポート班は皆頭を抱えていた。
彼らが感じているのはD・プログレスという制度そのものに対する不安である・・・
「こんなんで大丈夫なんですか・・・」
「分からん・・・分からなくなってきた」
ディーア・ディーウ・ディーオ
筋力 5 移動力 6 肥満度 5 体力度 80 敏捷度 75 器用度 65
外見年齢13歳
身長145cm 40kg 74・53・66 LV0
→ ディーア 65kg 89・74・72 LV3
75kg 102・82・76 LV4
ディーウ 65kg 80・85・78 LV3
ディーオ 65kg 78・87・92 LV3
リーファ・フェフ
筋力 6 移動力 7 肥満度 0 体力度 50 敏捷度 35 器用度 75
年齢 21歳
身長167cm 87・54・82
「デックス調査機関」(仮)に所属する若き天才科学者。
拙作「美と健」に登場したリーファは平行世界の同一人物。
キューブを食べても太らない体質なので、
『D・プログレス』では他のメンバーの指揮とサポートに徹している。